- 2012-07-14 - ラヴフール (www.lovefool.jp)
- 2012-07-14 - ラヴフール (www.lovefool.jp)
GAME BOY japanese packaging design. Nintendo, 1989.
団塊世代の後始末の悪さについては、冨山和彦・経営共創基盤代表取締役が次のようなことを言っているが、まったくその通りだと思う。
「もう1つ大事なのは、下りる世代がいる一方で、これから山を登っていく若い世代がいるわけだから、最低限、彼らが山に登るのを邪魔しないこと。若い世代がこれから山を登ろうという矢先に、『経済成長はよくない』『拡大路線はもう限界だ』『目先の利益ばかり追いかけてきたから、原発事故が起きたんだ』と、山に登ることそのものを否定しようとする。これは本当に勘弁してほしい。
若い世代からすれば、『原発事故が起きたのは、自分たちの責任でも何でもない。上の世代が勝手につくって、危機管理が甘かったせいでこうなってしまった。自分たちがツケだけ払わされるのは勘弁してほしい』。彼らの気持ちを代弁すると、こんな感じになるだろうか」
これから先も何十年も生きていかなければならない身とすれば、既存原発を稼働させながら安全性を高め、代替エネルギーや原発の技術革新に期待するのが現実的だ。悠々自適の年金生活で、あと十数年生きればいい世代にとっては、経済成長なんてもう興味はないのだろうが、現役世代や将来世代はそうはいかない。経済成長が止まっても年金は(政治的に)しばらく維持できるが、雇用は即座に失われる。
団塊世代が公害や原子力を改善しながら使って経済成長してきたように、われわれも試行錯誤しながら科学技術と付き合い、生命をつないでいくしかないのだ(現在の人類の生命は、多くを科学技術に負っている)。現実的な試行錯誤、漸進主義をすぐに否定して、空想的理想主義に陶酔できるのは、生活感のない学生と年寄りの贅沢である。
その点で、団塊世代とはまさに贅沢三昧の人生であった。学生時代は空想的リベラルとなり、学生運動にうつつを抜かしていた。ところが、いざ社会人になると、一転して現実的保守となり、「資本主義」の中で豊かになっていった。原発による電力を含む大量消費社会の実現も、団塊世代が牽引したものである。
”意外に思われるかもしれないが、現役社会人時代の団塊世代は、結構多くの人が自民党を支持していた。団塊世代に支持された自民党は、公共事業による土建バラマキを行った。この土建バラマキは、現役世代である団塊世代にとって、ダイレクトに雇用創出、所得増加へとつながっていった。
ところが、自分たちの引退が近づくと、団塊世代は土建バラマキを批判し、「そんなムダなカネがあるなら福祉を充実させろ」と言い出した。引退すれば、土建バラマキのうま味は減る。将来世代のための社会資本整備なんか知ったことではない。年金、医療、介護のためのカネをいかに政治的に自分たちにたぐり寄せるか。それが団塊世代の最大関心事となり、現在もそのための政治闘争(事業仕分け、消費税増税という名の福祉バラマキ)は続いている。
”